Wave vs Otter.ai
WaveとOtter.aiはどちらもAIで会議を文字起こしするツールですが、そのアプローチは大きく異なります。選ぶ際の参考になる、率直な比較をお届けします。
Otter.aiは、AI文字起こしツールとして最も早く普及した草分け的存在のひとつで、今も広く使われています。後発のWaveは異なる思想で作られました——ビデオ会議のボットだけでなく、あらゆる録音手段を用意するという考え方です。どちらも文字起こしとAI要約を生成しますが、カバーできるシーンの幅は大きく異なります。率直に整理してみましょう。
本質的な違い:どこで録音できるか
Otter.aiの中心は会議ボットです。カレンダーを連携すると、OtterがZoom・Google Meet・Microsoft Teamsの通話に参加者として加わり、文字起こしを進めます。対面の会話を録音できるiPhone・AndroidアプリとWebレコーダーもあり、音声ファイルのインポートもできます(無料プランは累計3件、Proは月10件まで)。一方、電話を録音する手段、Apple Watchアプリ、参加者リストにボットを表示させずにビデオ会議をキャプチャする方法はありません。
Waveには、もっと多くの入口があります。Zoom・Meet・Teamsの通話に会議ボットを送る(Otterと同じ方式)。MacとWindows対応のWaveデスクトップアプリで、ボットなしにあらゆる通話のマイクとシステム音声をキャプチャする。内蔵のPhone BridgeでiPhoneとAndroidの発着信を録音する。iPhone・Android・Apple Watchで録音ボタンを押して対面の会話を録音する。あるいは既存の音声・動画ファイルをインポートする。違いは、Waveにボットがないことではなく——ボットがいくつもの選択肢のひとつであって、唯一の手段ではないという点です。
文字起こしの精度
どちらのアプリも、話者ラベル付きの正確な文字起こしを生成します。Otterはビデオ会議に直接参加するためクリアなデジタル音声を扱え、一般に誤りが少なくなります。一方Waveの文字起こしエンジンは、スマートフォンのマイクで拾う現実の音——周囲の雑音、重なり合う声、話者との距離のばらつき——に最適化されています。実用上はどちらも十分使える文字起こしが得られますが、得意な場面が異なります。静かな自宅オフィスでのZoom通話ならOtterがわずかに上。騒がしい会議室やカフェでの会話なら、まさにそうした場面のために作られたWaveがはるかに上です。
AI要約
録音後には、どちらのアプリもAIによる要約を生成します。Otterは会議中のリアルタイム要約と、終了後の整った要約を提供し、アクションアイテムと主要トピックを抽出します。Waveは録音終了後に、要点、アクションアイテム、会話の構造化された概要を含む要約を生成します。どちらも本当に役立つもので、主な違いは品質ではなくタイミングです。
機能比較
- 録音方法:Waveは会議ボット、ボットなしのデスクトップアプリ、電話用のPhone Bridge、モバイルアプリ、Apple Watch、ファイルのインポート。Otterは会議ボット、モバイルとWebでの録音、ファイルのインポートです。
- 対面の会議:どちらもスマートフォンで録音できます。Otterの無料プランでは1会話30分まで(Proは90分)で止まりますが、Waveには1回あたりの上限がなく、Apple Watchでも録音できます。
- 電話:WaveはPhone BridgeでiPhoneとAndroidの発着信を録音します(全プラン対応。無料プランでは通話も月30分の枠に含まれ、Wave Proなら無制限)。Otterには電話の録音機能がありません。
- ビデオ会議:どちらもZoom・Teams・Meetに参加可能。Waveはさらに、ボットを参加させずにデスクトップアプリでシステム音声をキャプチャできます。
- ボットの可視性:Otterがビデオ会議に入る手段は、参加者に見えるボットだけです。Waveはボットも選べますが、ボットなしの方法(デスクトップ録音・モバイル録音)も備えています。
- プラットフォーム:WaveはiPhone・Android・Apple Watch・Wear OS・Mac・Windows・Webに対応。OtterはWeb中心で、iPhone・Androidアプリがあり、ウォッチアプリはありません。
- 話者識別:どちらも話者ラベルに対応。Otterは会議のプロフィール情報から話者を識別し、Waveは一度名前を付けた声を認識するVoice IDを使います。
- コラボレーション:Otterはチーム向けの共有ワークスペース、コメント、ハイライト機能を提供。Waveは簡単なエクスポートと共有を備え、個人の生産性に重点を置いています。請求とアクセスをまとめるWave Teamsもあります。
- 連携:OtterはZoom・Teams・Google Meet・Salesforce・HubSpotと連携。WaveにはオープンAPIとMCPサーバーがあり、ClaudeやChatGPTなどのAIアシスタントが録音を直接読み込めます。
- プライバシー:WaveはあなたのデータをAIモデルの学習に使用せず、SOC 2 Type 1に準拠しています。Otterは、参加者の同意なく録音したとして2025年8月に米カリフォルニア北部地区連邦地裁に提起された集団訴訟(Brewer v. Otter.ai、判決ではなく係争中の訴訟)を抱えており、通話へのボット参加は、地域によっては同意に関する問題を提起します。
- 料金:どちらも無料プランあり。OtterのBasicは月300分で1会話30分まで、Proは月額16.99ドル(年払いなら月8.33ドル)で月1,200分です。Waveの無料プランは月30分、Wave Proは月額15ドル、年払いならWebで年間80ドル(アプリストアでは年間100ドル)で録音が無制限になります。
プライバシーと同意
ここからが比較の面白いところです。ビデオ会議ではOtterは常にボットを使うため、録音していることが参加者全員に見えます。多くの職場ではそれで問題ありません——会議が録音されるのは当然という前提だからです。しかしクライアントとの通話、面接、デリケートな会話では、録音ボットの存在が場の空気を変えてしまいます。
Waveなら選べます。録音が標準になっている社内会議ではボットを。参加者リストにボットを載せずに音声を記録したいときは、デスクトップアプリやモバイルレコーダーを。WaveはSOC 2 Type 1に準拠し、あなたの録音や文字起こしをAIモデルの学習に使用しません。機密情報を扱う人——弁護士、セラピスト、人事担当者、ジャーナリスト——にとって、ボットなしの録音手段があることは重要です。
とはいえ、相手に知らせずに録音することには、それ自体の法的義務が伴います。会話の録音に全当事者の同意を必要とする国や地域は少なくありません。Waveは録音を目立たなくしますが、参加者に知らせる法的責任はあくまであなたにあります。
Otterが勝る場面
仕事がZoom・Teams・Google Meetでのスケジュール済みビデオ会議を中心に回っていて、これらのプラットフォームとの緊密な連携を求めるなら、Otterが適しています。カレンダー上のすべての会議にボットを自動参加させ、文字起こしし、メモをCRMに送り込める機能は、営業チームやアカウントマネージャーにとって強力です。共有ノート、コメント、ハイライト集といったOtterのコラボレーション機能も、会議の内容を共同で扱う必要がある大規模チームに向いています。会話が短ければ、無料プランの総分数もたっぷりあります。
Waveが勝る場面
会議がZoomの上だけでなく、さまざまな場所で行われるなら、Waveが適しています。講義を録音する学生はモバイルアプリを。クライアントと電話するコンサルタントはPhone Bridgeを。Zoom会議が連続するリモートワーカーはデスクトップアプリか会議ボットを。会議室に入る人はウォッチで録音ボタンを。録音方法をひとつに縛らず複数用意しているからこそ、Waveはこのすべてをカバーできます。
プライバシーまわりの柔軟性でもWaveが勝ります。録音が前提の場ではボットを。慎重さが求められる場ではデスクトップアプリやモバイルレコーダーを。データがAIの学習に使われることはなく、WaveはSOC 2 Type 1に準拠しています。規制の厳しい業界のプロフェッショナルにとって、ボットなしで録音できる選択肢は大きなアドバンテージです。
結論
1日の大半をZoom会議の連続で過ごし、チームコラボレーション機能付きの自動文字起こしが欲しいなら、Otter.aiはそのワークフローのために作られた堅実なツールです。しかし、対面でも、電話でも、講義室でも、カフェでも、ビデオ会議でも——どこでも使える会議レコーダーが必要なら、より万能なのはWaveです。一方、仕事が完全にビデオ会議だけで完結し、チームに共有ワークスペースとCRM連携が必要なら、その特定のワークフローに関してはOtterのコラボレーション機能のほうが成熟しています。
